オトガイ形成術とは?手術の流れと費用、リスクを解説

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オトガイ形成術とは?手術の流れと費用、リスクを解説

オトガイ形成術とは?手術の流れと費用、リスクを解説

「オトガイ形成術ってどんな手術?」

「手術の流れやリスク、費用を事前に知っておきたい」

オトガイ形成術は、下顎骨の先端を適切な位置に調整し、機能面と顔全体のバランスを整えるために行われる手術です。

オトガイ(あご先)は顔の下半分の形を決める重要な部位で、噛み合わせや顎関節の状態にも関わります。

この記事では、オトガイ形成術の流れやリスク、費用の目安をわかりやすく解説します。

オトガイ(あご)とは?

オトガイ(あご)とは?

オトガイとは、下顎骨の最前部(あご先)のことです。顔の下半分の形を決める重要な部位で、全体の印象に大きく影響します。

また、歯列や咬合、顎関節の位置とも連動しており、咬合不全や顎変形症の評価にも関係します。

美容面では、鼻・唇・顎を結んだEライン(エステティックライン)の形成に関与する点も特徴です。オトガイの形状によって横顔の印象が変わり、引っ込んで見える、突出して見えるなど、顔全体のバランスの見え方に大きな差が生まれます。

オトガイ形成術とは

オトガイ形成術とは

オトガイ形成術とは、下顎骨の先端(オトガイ)の骨を切離し、位置や形を整える外科的な手術です。顎を前に出したり引っ込めたり、上下方向や左右方向へ微調整したりと、多面的な調整ができる点が大きな特徴です。

オトガイ形成術は顔全体の輪郭バランスを整えたり、横顔のEラインを改善したりする目的で行われます。美容目的だけでなく、顎変形症や咬合不全(こうごうふぜん:上下の歯が正しく噛み合っていない状態)といった機能的な問題を改善する治療として行われることも少なくありません。

手術は多くの場合、口腔内からアプローチするため外側に傷跡が残らず、見た目への影響を最小限に抑えられます。顎の形状が変わることで、顔つきがすっきり見える、横顔のバランスが整うなど大きな変化が得られる手術です。

オトガイ形成術の主な方法

オトガイ形成術の主な方法

オトガイ形成術には目的や仕上がりの希望に応じて複数の術式があります。以下の3つが代表的です。

  • 水平骨切り
  • T字型骨切り
  • 結節部骨切り

それぞれの術式がどのようなケースに適しているのか詳しく解説します。

水平骨切り

水平骨切りは、オトガイ形成術の中で最も一般的な方法です。下顎骨のオトガイ部を水平に切離し、骨片を前方や後方、上下方向へ移動させて理想の形に整えていきます。

移動した骨片はチタン製プレートまたはスクリューで固定され、位置を安定させることで自然な輪郭をつくることができます。

適応範囲が広いため単独での手術でも効果が出やすく、輪郭のバランスを整えたい人に向いている術式です。

T字型骨切り

T字型骨切りは、水平骨切りを行ったあとに中央部へ縦の切離を追加する術式です。オトガイ部をT字状に切ることで骨片を細かく調整でき、不要な骨を除去してから再固定します。

顎の長さを短くしたい場合や、下顎の幅を細くしたい場合に有効で、輪郭をよりシャープに見せたい人に適した方法です。

ただし、骨片の位置決めが複雑で左右対称性の確保も重要になるため、熟練した医師による精密な操作が求められます。

結節部骨切り

結節部骨切りは、オトガイ部の左右両端にある骨の突出(オトガイ結節)を部分的に切除したり削合したりすることで、顎先の形を細かく整える方法です。

輪郭の微調整や左右差の修正に用いられ、自然な仕上がりを求める場合に適しています。

単独での手術を行うこともありますが、水平骨切りやT字型骨切りと併用し、最終的な輪郭の整えとして仕上げに使われるケースが多い術式です。

オトガイ形成術が適しているケース

オトガイ形成術が適しているケース

オトガイ形成術は、顎の位置や形に関する悩みを改善したい場合に選ばれることが多い手術です。歯科的な問題から美容面のコンプレックスまで、さまざまなケースで適応されます。

具体的には、以下のような症状や悩みに対して適応されるケースが多いです。

歯科・機能的な悩み美容の悩み
・噛み合わせが悪く、顎の前後関係にズレがある

・下顎の発育が過剰または不足している

・会話時に口元や顎に余分な力が入る

・顎関節に痛みや違和感がある

・顎が小さく引っ込んで見える

・顎が長く、面長な印象がある

・顎が左右どちらかに傾いている

・フェイスラインがぼやけている

・横顔のEラインが崩れている

ただし、機能的な問題が強い場合には、矯正歯科治療など別の治療が必要になるケースもあります。

なお、山之内矯正歯科クリニックでは単なる審美目的のオトガイ形成術にとどまらず、顎の骨格・咬合・呼吸を含めたトータルな「外科矯正」に対応しています。専門的な診断と多職種連携による治療体制をご提供していますので、気になる方はぜひ一度カウンセリングへお越しください。

オトガイ形成術の施術の流れ

オトガイ形成術の施術の流れ

オトガイ形成術は、以下の流れで進められます。

  • 診査・シミュレーション
  • 麻酔・マーキング
  • 切開・骨切り
  • 固定・縫合
  • 経過観察・アフターケア

それぞれの工程で何が行われるのかを解説します。

診査・シミュレーション

オトガイ形成術ではまず、CT撮影や頭部X線(セファログラム)を用いて骨格や歯列、咬合の位置関係を詳細に評価します。これにより、顎の形だけでなく噛み合わせや顎関節への影響も事前に把握することが可能です。

さらに、3Dシミュレーションを行い、骨の移動量や仕上がり後のEラインの変化を確認します。神経や血管の位置を考慮しながら、安全で効果的な骨切りラインを設計する工程は非常に重要で、手術の精度を左右します。

麻酔・マーキング

手術当日は、施術内容や所要時間に応じて局所麻酔または全身麻酔を選択します。

全身麻酔の場合は麻酔科医が立ち会い、バイタルサインを常にモニタリングしながら安全性を確保します。

麻酔が効いたら、手術部位を口腔内粘膜の上から丁寧にマーキングします。正確なマーキングは仕上がりの形だけでなく安全性にも直結するため、オトガイ形成術の中でも重要な工程です。

マーキングの段階で骨切りラインや下歯槽神経の走行を確認し、術中のリスクを最小限に抑えられるよう位置を調整します。

切開・骨切り

切開・骨切りの段階では、まず下唇の内側から口腔内粘膜を切開し、外から傷跡が見えないようにアプローチします。骨膜を丁寧に剥離してオトガイ部の骨を露出させ、術前シミュレーションで決めたラインに沿って骨を切離します。

このとき、オトガイ神経を損傷しないよう位置を常に確認しながら慎重に操作することが非常に重要です。

切り出した骨片は、必要に応じて前方・後方・上下の方向へ移動させ、理想的な顎の位置やEラインに近づくよう調整します。

固定・縫合

骨片の位置を整えたら、チタンプレートまたはスクリューを用いてしっかり固定し、安定性を確保します。

固定後は左右のバランスが正しく取れているかを丁寧に確認し、位置に問題がなければ口腔内の粘膜を縫合して閉鎖します。

使用される固定材は生体親和性が高い素材です。長期的な安全性が確認されており、体内に留置しても支障が出にくいとされています。

経過観察・アフターケア

手術後は、腫れやしびれ、出血の有無を確認しながら経過を観察します。必要に応じて抗生剤や鎮痛薬が処方され、感染予防と痛みの軽減を図ります。

術後1〜2週間は腫れが残るため、無理をせず口腔内の清潔を保ちながら日常生活を送ることが大切です。安静を保ち、過度な開口や強い咀嚼を避けるよう指導されます。

また、骨の固定状態を確認するため、術後のフォローアップとしてレントゲンやCTを定期的に撮影します。継続的なチェックにより、骨の位置が安定しているか、安全に回復が進んでいるかを確認します。

オトガイ形成術のリスク

オトガイ形成術のリスク

オトガイ形成術にはいくつかのリスクがあり、術後の経過や仕上がりに影響する可能性があります。代表的なリスクは次の4つです。

  • 腫れ・出血
  • 神経のしびれや感覚の鈍化
  • 感染のリスク
  • 骨の位置戻り(リラプス)

それぞれのリスクについて詳しく解説します。

腫れ・出血

オトガイ形成術では、術後に腫れや出血が生じることがあります。これは骨切り部や軟組織が手術の刺激に反応するためで、多くの人にみられる一般的な症状です。

腫れは術後2〜3日をピークに現れ、1〜2週間ほどで自然に落ち着くケースがほとんどです。冷却や安静、頭部を高くして休むなどの基本的なケアを行うことで症状を軽減しやすくなります。

ただし、腫れが長引く場合や強い圧痛が続く場合は、血腫が形成されている可能性があります。その際はドレナージ処置や早期の再診が必要になるため、自己判断せず医療機関へ相談することが重要です。

神経のしびれや感覚の鈍化

オトガイ形成術では、オトガイ神経や下歯槽神経が手術部位の近くを走行しているため、術後に一時的なしびれや感覚の鈍化が生じることがあります。骨切りや剥離操作によって神経が刺激されることで起こるもので、多くの症例で想定される反応です。

しびれは数週間〜数ヶ月の経過で徐々に回復することが多く、時間とともに改善が期待できます。

麻痺が長期間残るケースはまれですが、症状の程度や回復の速度には個人差があるため、経過観察を続けながら適切なケアを行うことが大切です。

感染のリスク

オトガイ形成術は口腔内からアプローチするため、常在菌による感染リスクが一定程度あります。術後は抗生剤を服用し、うがい薬で口腔内を清潔に保つことが重要です。

傷口が痛む・腫れる・膿が出るなどの症状がある場合は、早期に対応することで重症化を防げます。

固定材であるプレートやスクリューの感染はまれですが、慢性的な炎症が続く場合には除去が必要になることもあります。

術後の衛生管理や定期的な診察を怠らず、少しでも異変を感じた際には速やかに医師へ相談することが大切です。

骨の位置戻り(リラプス)

リラプスとは、骨切りによって移動した骨片が術後にわずかに元の位置へ戻る現象のことです。固定の安定性や周囲の筋肉の張力、咬合時にかかる力などが影響し、少しずつ位置が変化することがあります。

一般的には、術後3〜6ヶ月の経過観察で骨の位置が安定しているかを確認します。この期間は骨が再生し固まっていく大切な時期であるため、定期的な画像検査で変化を見逃さないようフォローが必要です。

とくに大きな骨移動を行ったケースでは位置戻りが生じやすく、慎重な観察が求められます。適切な固定と術後管理を行うことで、リラプスのリスクを抑えやすくなります。

オトガイ形成術の費用

オトガイ形成術の費用

オトガイ形成術は、審美を目的とする場合は保険が適用されず、自費診療となります。

一般的な相場は40〜200万円前後です。費用は手術方法、麻酔の種類、併用する施術の有無などによって大きく変動します。

とくに、T字型骨切りなど複雑な術式や全身麻酔を用いるケースでは高額になりやすい傾向があります。

また、顎変形症や咬合の改善を目的とする場合であっても、オトガイ単独での形成術は審美的な要素が強いため、保険適用の対象外となることが多い点には注意が必要です。

費用はクリニックによって異なるため、事前に詳細な見積もりを確認し、自分に合った治療内容を検討しましょう。

まとめ

まとめ

オトガイ形成術は、あご先の骨の位置や形を調整し、機能面とバランスを整えるための外科手術です。

術式によって調整範囲が異なるため、仕上がりの希望や解決したい課題に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。

一方で、骨切りを伴う手術である以上、腫れやしびれ、感染、位置戻りなどのリスクはゼロではありません。術後の経過観察や適切なアフターケアを行うことで、安全性と仕上がりの満足度を高めやすくなります。

オトガイ形成術を検討する際は、手術の流れやメリット・注意点を正しく理解したうえで、専門の医師と相談しながら自分に適した治療方法を選んでいきましょう。

この記事の監修者

山之内矯正歯科クリニック 院長 山之内 哲治
山之内 哲治

矯正歯科臨床38年以上の経験を持ち、外科矯正と呼吸機能改善を専門としています。口腔外科・形成外科・呼吸器内科など多領域の先生方と連携し、咬み合わせの問題を骨格から見直す必要があるのか、歯列矯正で対応できるのかを慎重に見極めた治療を行っています。

経歴

  • 1984年:岡山大学歯学部附属病院 研究生・医員
  • 1986年:光輝病院勤務、岡山大学歯学部附属病院 助手
  • 1987年:米国ロヨラ大学 Dr.Aobaのもとへ留学
  • 1998年:岡山大学歯学部 退職
  • 2000年:山之内矯正歯科クリニック 開院
  • 2004年:日本矯正歯科学会 優秀発表賞受賞
  • 2011年:日本臨床矯正歯科医会 アンコール賞受賞