小児の歯科矯正の費用はどれくらい?補助金や保険、ローンについて

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小児の歯科矯正の費用はどれくらい?補助金や保険、ローンについて

小児の歯科矯正の費用はどれくらい?補助金や保険、ローンについて

あごの成長が活発な小児期は、歯科矯正を開始するのに絶好のタイミングです。歯並びは見た目だけでなく咀嚼や発音にも影響を与えるため、適切な時期に歯科矯正を行うことが推奨されます。

一方で、お子様の歯科矯正を検討中の保護者様の中には「費用が高い」「支払いに不安がある」と感じる方も多いです。お金も時間もかかる治療だからこそ、費用面での不安は早めに解消しておきたいですよね。

本記事では、小児の歯科矯正の費用全般について詳しく解説します。保険適用の条件やローンについても説明するので、小児矯正を検討中の方はぜひ参考にしてください。

小児の歯科矯正の費用相場

小児の歯科矯正の費用相場

小児の矯正治療は、歯やあごの成長段階に応じて「1期治療」と「2期治療」に分けられます。それぞれ治療内容と費用相場が異なるため、1期治療と2期治療に分けて解説します。

1期治療の費用相場

1期治療は乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(6〜10歳前後)に行われるもので、主にあごの成長や歯並びの土台を整えることを目的とします。

将来の歯並びを良くするための準備期間であり、歯を無理に動かす治療は行いません。費用相場は30万〜50万円程度で、具体的な治療内容は次の通りです。

▼1期治療の内容

  • あごの位置や幅を調整する
  • 指しゃぶりや口呼吸を改善する
  • 軽度の不正咬合(出っ歯・受け口)を改善する

2期治療の費用相場

2期治療は永久歯がほぼ生え揃う12歳頃から行われます。1期治療で整えたあごの位置や歯列の土台をもとに、歯そのものの位置を動かして噛み合わせを完成させます。

費用は1期から継続して行うケースで40万〜60万円程度、2期から開始するケースは50万〜120万円程度が目安で、治療内容は成人とほぼ同じです。

▼2期治療の内容

  • 永久歯の位置を整え、正しい噛み合わせをつくる
  • ワイヤーやブラケットなどで歯を移動させる
  • 保定装置で歯列の後戻りを防止する(治療完了後)

小児の歯科矯正は保険が適用される?

小児の歯科矯正は保険が適用される?

原則として、小児矯正は自由診療となり、費用は患者様の自己負担となります。ただし、特定の条件を満たす場合には保険が適用されます。

▼保険が適用されるケース

  • 別に厚生労働大臣が定める疾患による咬合異常 ※詳細は後述
  • 前歯・小臼歯のうち3歯以上の萌出不全による咬合異常(埋伏歯開窓術が必要な場合)
  • 顎変形症(外科手術を要するもの)の術前・術後矯正

これらに該当する場合、厚生労働省が指定した医療機関で治療を受けることを条件に保険診療として認められます。指定施設は各地域の厚生局サイトで確認できます。

▼用語説明

  • 咬合(こうごう)異常…歯の噛み合わせが正常でない状態
  • 小臼歯(しょうきゅうし)…前歯から数えて4番目と5番目の奥歯のこと(上下左右に2本ずつの計8本)
  • 萌出不全(ほうしゅつふぜん)…本来歯が生えてくる時期または位置に生えてこないこと
  • 埋伏歯開窓術(まいふくしかいそうじゅつ)…歯ぐきや骨の中に埋まった歯を露出させ、正しい位置まで引き出す外科的手術

参考:公益社団法人 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」

小児の歯科矯正で保険が適用される症例

小児の歯科矯正で保険が適用される症例

小児の歯科矯正で保険が適用される疾患の一例をご紹介します。(本記事でご紹介するもの以外は日本矯正歯科学会のページをご確認ください)

口唇裂・口蓋裂・唇顎口蓋裂

唇や上あごに先天的な裂け目がある疾患です。咀嚼(そしゃく)や発音、あごの発育に影響を及ぼすことから、年齢に合わせて段階的な外科手術と歯科矯正を行います。

形成外科や歯科口腔外科などが連携して総合的な治療を行う必要があり、歯科矯正の開始時期は発育の程度や歯の状態によって判断されます。

口唇裂(こうしんれつ)・口蓋裂(こうがいれつ)・唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)は保険診療の対象となり、自立支援費用(育成医療)によって医療費の自己負担が1割に軽減されます。※世帯所得に応じて負担上限あり

参考:厚生労働省「自立支援医療(育成医療)の概要」

公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会「口唇(こうしん)・口蓋裂(こうがいれつ)の矯正歯科治療は いつから始めるのがよいですか?」

先天性の小下顎症を伴う疾患

生まれつき下あごが小さい、または顔面骨の発達が不十分である疾患によって小児矯正が必要となる場合も保険適用となります。代表的な疾患には、ピエール・ロバン症候群やトリーチャー・コリンズ症候群などがあります。

これらの疾患は、成長に合わせて段階的な治療を行うことが一般的です。小児矯正を行うタイミングは成長期以降が多く、必要に応じて顎骨延長術(専用の器具を使い、あごの骨をゆっくりと伸ばしていく治療)や顎変形症手術(上下のあごの位置や形のズレを整え、噛み合わせと顔のバランスを改善するための手術)などの外科的治療を組み合わせて咀嚼や発音、呼吸の改善を図ります。

ダウン症候群

21番染色体の異常によって起こる先天性疾患で、筋緊張の低下や運動発達の遅れ、心疾患、消化器系の異常などさまざまな合併症を伴うことがあります。

あごの発達がゆっくりで歯がなかなか生えてこず、歯並びや噛み合わせが悪くなりやすいのが特徴です。特に、上あごの発育が不十分なために下あごが前に出る反対咬合(いわゆる受け口)が多く見られます。

歯科的な治療としては、口腔機能訓練や口呼吸・舌癖(ぜつへき)の改善など機能面のサポートを行い、必要に応じてあごの拡大装置や咬合誘導装置を使用したり、永久歯が生え揃った後はブラケット矯正やマウスピース矯正を行う場合もあります。

上顎劣成長症・下顎前突症

上あごの成長が不足している、または下あごが過剰に発達していることで起こる骨格的な咬合異常は保険適用での歯科矯正が可能です。

軽度の症例では、上あごに力をかけて前方に成長させる装置や顎間(がっかん)ゴムを使ってあごの成長を促します。骨格のズレが大きい、または成人に近い年齢では顎変形症手術で骨格そのものを整える必要があります。

小児の歯科矯正に使える補助金はある?

小児の歯科矯正に使える補助金はある?

小児矯正には国の一律補助はありませんが、一部で先天性疾患や医療的ケア児を対象に治療費を助成する制度を設けている自治体があるようです。

口唇裂・口蓋裂などの治療では育成医療の対象になる場合があり、自己負担が軽減されるケースもあります。近年は子どもの医療費助成に矯正治療を含める例も見られます。

市区町村の公式サイトや福祉窓口では対象条件や申請書類を案内してもらえるので、詳細は自治体の最新情報を確認してみてください。

小児の歯科矯正は医療費控除の対象になる?

小児の歯科矯正は医療費控除の対象になる?

医療費控除は、1年間に支払った医療費の合計が10万円または所得の5%を超えた場合に超えた分を所得から差し引くことができる制度です。

小児矯正でも、噛み合わせや発音の改善などの機能回復を目的とした治療であれば控除対象になります。※見た目を良くするだけの美容目的の矯正は対象外

▼小児矯正で医療費控除の対象となる費用

矯正治療費診断料・装置代・調整料・保定装置費など
精密検査費用レントゲン撮影・歯型模型の作成など
交通費通院時にかかった交通費(公共交通機関の運賃)※
医薬品費医師が処方した薬代

※タクシー代は原則除外

医療費控除を受けるには、確定申告で「医療費控除の明細書」の提出が必要です。クレジットカード払いやデンタルローン利用分も控除対象となります。(分割払いは支払った年の金額のみが医療費控除の対象になります)

小児の歯科矯正の費用はローン・分割で支払える?

小児の歯科矯正の費用はローン・分割で支払える?

小児矯正は数十万〜百万円単位の費用がかかるため、歯科医院ではデンタルローンや分割払いに対応していることが多いです。

デンタルローンは信販会社を通じて借入を行い、治療費を分割で支払う制度です。返済回数の選択肢が幅広く、月々の返済負担を軽減できるメリットがあります。(分割回数や金利は歯科医院や信販会社によって異なります)

歯科医院の中には、院内で独自の分割プランを設けているところもあります。院内分割は信販会社を介さないため手続きが簡単で、金利や手数料がかからないことが多いです。

デンタルローンよりも分割回数は少ないですが、契約時に半額を支払い、残りを毎月分割で支払うなど短期的な支払いが可能な方に向いています。

デンタルローンや分割払いを希望する場合、中途解約や返金対応のルールを事前に確認しておくことが大切です。小児矯正は治療が長くなる傾向があるので、費用や支払い方法についての不安はしっかりと解消しておきましょう。

当院では、信販会社やクレジットカード会社を通さない分割払いをお受けしております。分割回数やお手続きについてはお気軽にお問い合わせください。

小児の歯科矯正の費用にまつわる質問

小児の歯科矯正の費用にまつわる質問

小児矯正の費用について、保護者様から多く寄せられるご質問をまとめました。

受け口を治す小児の歯科矯正の相場は?

受け口(反対咬合)の小児矯正の費用相場は20万〜40万円程度です。あごの成長をコントロールする1期治療が中心となり、使用する装置や治療期間によって差があります。

重度の症例で2期治療が必要となる場合は60万〜100万円を超えることもあります。

受け口には骨格的要因によるものと歯の生え方が影響するものの2タイプあり、治療の難易度は骨格的要因によるものの方が高いです。その分費用や時間を要する可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。

小児の歯科矯正で拡大装置を使用する場合の費用は?

1装置あたりの費用は10万〜30万円前後が目安で、あごの成長を活かせる6〜10歳頃に行うのが理想的です。

拡大装置はあごの骨をゆっくりと広げて歯列の幅を整える治療方法で、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保するために使用します。主に上あごが狭いお子様に有効です。

拡大装置を用いた治療は、半年〜1年ほどかけてネジを回しあごの骨を少しずつ拡大していきます。必要に応じて本格的なワイヤー矯正やマウスピース矯正へ移行することもあり、そのようなケースでは追加で費用がかかります。

小児の歯科矯正でインビザラインは可能?

近年は子ども専用のインビザライン・ファースト(Invisalign First)が登場し、6〜10歳の混合歯列期からマウスピース矯正が可能になりました。費用は40万〜70万円程度が相場です。

インビザライン・ファーストでの小児矯正では、透明なマウスピースを段階的に交換しながら歯並びを整えていきます。通院回数が少なく、見た目も自然で痛みや違和感が少ないといわれています。

インビザライン・ファーストでの注意点は、マウスピースの装着時間が治療効果を左右することです。マウスピースは1日20時間以上の装着が必要であり、お子様の協力と保護者様の見守りが欠かせません。

取り外しができる分、つけ忘れや紛失の心配もあるため、親子での取り組みが必要です。

まとめ

まとめ

小児の歯科矯正は成長期だからこそできる治療です。費用は1期治療と2期治療で異なりますが、早期にはじめることで成人矯正よりも費用を抑えられる可能性があります。

お金と時間がかかる治療ですが、デンタルローンや分割払い、医療費控除など、負担軽減につながる方法もあります。「子どもの歯並びが気になる」「小児矯正を検討したい」という保護者様は、歯科医院へ相談してみてはいかがでしょうか。

山之内矯正歯科クリニックでは、患者様のお悩みを解消するために丁寧なカウンセリングを心がけております。小児矯正にも対応しておりますので、お子様の歯並びや噛み合わせでお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

山之内矯正歯科クリニック 院長山之内 哲治
山之内 哲治

矯正歯科臨床38年以上の経験を持ち、外科矯正と呼吸機能改善を専門としています。口腔外科・形成外科・呼吸器内科など多領域の先生方と連携し、咬み合わせの問題を骨格から見直す必要があるのか、歯列矯正で対応できるのかを慎重に見極めた治療を行っています。

経歴

  • 1984年:岡山大学歯学部附属病院 研究生・医員
  • 1986年:光輝病院勤務、岡山大学歯学部附属病院 助手
  • 1987年:米国ロヨラ大学 Dr.Aobaのもとへ留学
  • 1998年:岡山大学歯学部 退職
  • 2000年:山之内矯正歯科クリニック 開院
  • 2004年:日本矯正歯科学会 優秀発表賞受賞
  • 2011年:日本臨床矯正歯科医会 アンコール賞受賞