オトガイ形成で後悔しないために|原因・対策を医師が解説

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オトガイ形成で後悔しないために|原因・対策を医師が解説

オトガイ形成で後悔しないために|原因・対策を医師が解説

「オトガイ形成って本当に後悔しないの?」

「失敗の原因や、事前に気をつけるべきポイントを知っておきたい」

このように不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

オトガイ形成は、あご先の骨を調整して顔全体のバランスを整える手術です。

しかし、仕上がりのイメージの違いやしびれ、ダウンタイムなど、術後に「思っていたのと違う」と感じるケースもあります。

この記事では、オトガイ形成で後悔が起こる主な原因とその対策、手術を成功させるためのポイントを医師の視点からわかりやすく解説します。

オトガイ形成とは

オトガイ形成とは

オトガイ形成とは、下顎の先端(オトガイ部)の骨を切り、前後・上下・左右へ位置を調整する外科的な処置です。あご先の形を整えることで、顔全体の印象をバランスよく整えることができます。

この手術は、見た目の輪郭を整えるだけでなく、咬み合わせや顎の位置関係を改善する目的でも行われます。口の中からアプローチするため、外側に傷跡が残りにくく、自然な仕上がりが期待できます。

さらに、矯正治療や顎変形症手術と組み合わせることで、顔貌の調和と機能面の改善を同時に実現することが可能です。審美性と機能性の両方を高めたい方に適した治療法といえるでしょう。

関連記事:オトガイ形成術とは?手術の流れと費用、リスクを解説

オトガイ形成で「後悔した」と感じる主な理由

オトガイ形成で「後悔した」と感じる主な理由

オトガイ形成は輪郭を整える効果が高い一方で、術後に「想像と違った」と感じる方もいます。治療を検討する際は、後悔につながりやすい理由を事前に理解しておくことが大切です。

後悔したと感じる主な理由は以下のとおりです。

  • 仕上がりのイメージが違った
  • しびれや感覚の違和感が残った
  • 思ったよりダウンタイムが長かった

それぞれについて詳しく解説します。

仕上がりのイメージが違った

オトガイ形成で後悔したと感じる理由の中でも多いのが、「思っていた形と違う」という仕上がりのミスマッチです。とくに「顎が出すぎた」「引っ込みすぎた」といった微妙な差が、顔全体の印象を大きく左右します

その背景には、術前のシミュレーション不足や骨格分析の精度不足による設計段階の誤差があります。また、顎の形だけを重視し、鼻・唇・咬み合わせなど周囲とのバランスを十分に考慮できていないケースも見られます。

そのため、術前には3Dシミュレーションなどを活用し、正確な骨格分析と全体のバランス確認を行うことが重要です。理想的な仕上がりを実現するには、経験豊富な医師との丁寧なカウンセリングが欠かせません。

しびれや感覚の違和感が残った

オトガイ形成の後に、「あご先がしびれる」「感覚が鈍い」と感じることがあります。これは多くの方に一時的に起こる反応であり、手術の影響によるものです。

オトガイ部にはオトガイ神経や下歯槽神経が通っており、骨を切る際の刺激や術後の腫れによって、神経が一時的に影響を受けることがあります。通常は数週間〜数ヶ月で自然に回復しますが、まれに長引くケースもあります。

神経の位置を正確に把握せずに骨切りを行うと、感覚異常が残るリスクが高まります。そのため、術前にCT画像などで神経走行を精密に確認し、慎重に施術を行う医師を選ぶことが大切です。

思ったよりダウンタイムが長かった

オトガイ形成は骨を切って位置を移動させる外科的処置のため、皮膚や骨膜、筋肉などの回復に時間がかかります。そのため、「思ったより腫れが引かない」「仕事復帰までに時間が必要だった」と感じる方も少なくありません。

手術後の腫れのピークは通常2〜3日程度ですが、完全に自然な状態に戻るまでには2〜4週間ほどかかる場合があります。体質や手術の範囲によっては、内出血やむくみが長引くこともあります。

ダウンタイムを短くするためには、術後の安静や冷却ケア、医師の指示に従った生活管理が重要です。スケジュールに余裕を持って計画し、回復期間を十分に確保しておくことが後悔を防ぐポイントです。

費用やリスクを十分に理解していなかった

オトガイ形成で後悔につながる大きな要因の一つが、費用やリスクについての理解不足です。とくに審美目的のオトガイ形成は保険が適用されないことが多く、自己負担額が想定よりも高額になるケースが少なくありません。

また、場合によっては再手術が必要になる可能性もあります。こうしたリスクの説明が不十分なまま手術を受けてしまうと、「思ったより費用がかかった」「完成までに想定より時間がかかった」と感じる結果につながります。

後悔を防ぐためには、カウンセリング時に費用の内訳や術後リスク、回復期間などをしっかり確認することが大切です。信頼できるクリニックを選び、納得できるまで説明を受けてから手術に臨みましょう。

後悔を防ぐためのポイント

後悔を防ぐためのポイント

オトガイ形成で後悔を避けるためには、術前の準備と医療機関の選び方が非常に重要です。

後悔を防ぐためのポイントは以下のとおりです。

  • 顔貌だけでなく機能面(咬合・呼吸)も重視する
  • CT・セファロ分析による骨格診断を行う
  • 外科矯正・口腔外科に対応できる医療機関を選ぶ
  • 手術前に費用とリスクをしっかり把握する

それぞれについて詳しく解説します。

顔貌だけでなく機能面(咬合・呼吸)も重視する

オトガイ形成は、見た目のバランスを整えるだけでなく、咬み合わせや呼吸の通り方にも影響を与える手術です。あごの位置や角度を調整することで、下顎の咬合関係や気道スペースが変化するため、機能面への配慮が欠かせません。

とくに、美容面だけを優先すると、咬合のズレや発音の違和感、気道への負担などが生じる可能性があります。そのため、機能と審美の両方を考慮した設計が重要です。

矯正歯科医や口腔外科医と連携し、顔貌と機能を統合的に診断・計画することで、仕上がりの満足度を高められます。とくに総合的な視点で治療を進めることが、後悔を防ぐ大切なポイントです。

CT・セファロ分析による骨格診断を行う

オトガイ形成では、骨格全体のバランスを正確に把握した上で手術を設計することが重要です。顔の一部だけで判断するのではなく、骨格構造全体を立体的に分析することで、より安全で理想的な仕上がりを目指せます

CT(3D画像)を用いると、下顎骨の厚みや角度、さらに神経や血管の走行を立体的に確認できます。これにより、安全な骨切りラインを正確に設計できるのが大きな利点です。

また、セファログラム(頭部X線規格写真)は、上下顎や歯列、顔面軟組織との位置関係を数値で評価でき、Eラインや咬合軸のバランスを把握するのに役立ちます。

画像分析を組み合わせることで、審美性と機能性の両立を図った正確な術前シミュレーションが可能になります。

外科矯正・口腔外科に対応できる医療機関を選ぶ

オトガイ形成は顎の骨を直接扱う外科手術であるため、解剖構造や咬合機能を正確に理解している医療機関で行うことが不可欠です。骨格バランスや神経の走行を誤ると、感覚異常や仕上がりの不自然さにつながる恐れがあります。

美容目的だけを主とするクリニックでは、骨格や神経構造を考慮した設計が十分でない場合もあります。そのため、外科矯正や顎変形症治療の経験を持つ専門医が在籍しているかどうかを確認することが大切です。

なお、山之内矯正歯科クリニックでは、外科矯正やオトガイ形成に必要な骨格・咬合・呼吸機能を総合的に評価し、一人ひとりに合わせた治療計画を立てています。必要に応じて口腔外科とも連携し、安全性と仕上がりの両面を重視した治療をご提供しています。

手術前に費用とリスクをしっかり把握する

オトガイ形成は、手術の内容や目的によって費用やリスクが大きく異なるため、事前にしっかり確認することが欠かせません。とくに、どのような方法で骨を移動させるか、入院の有無、麻酔の種類などによって費用が変動します。

美容目的で行う場合は保険が適用されず、費用は数十万円単位になることが一般的です。また、腫れやしびれ、再手術の可能性など、術後経過に伴うリスクも理解しておく必要があります。

後悔を防ぐためには、見積もりの内訳や保証制度、術後フォローの有無を事前に確認することが重要です。納得できるまで説明を受け、費用面・安全面の両方で安心できる環境を選びましょう。

オトガイ形成後に後悔してしまった場合の対応

オトガイ形成後に後悔してしまった場合の対応

オトガイ形成後に違和感や不安を感じた場合でも、適切な対応を行うことで改善が見込めるケースは多くあります。

  • 骨の位置や形が合わない場合は修正手術が可能
  • プレート除去や再固定で形を調整できるケースもある
  • 腫れや感覚の違和感は時間経過で改善することが多い

それぞれについて詳しく解説します。

骨の位置や形が合わない場合は修正手術が可能

オトガイ形成後に「形が思っていたものと違う」「左右差が気になる」と感じても、修正手術によって改善が見込めるケースは多くあります。骨のズレやバランスの乱れがあっても、正確な診断と再設計を行えば自然な輪郭に整えることが可能です。

焦って自己判断せず、まずは手術を行った医師、または経験豊富な医師に相談することが大切です。CT画像やセファロ分析を用いて再評価を行い、再シミュレーションを実施することが最良の対応策といえます。

修正手術では、骨片の再切開や再固定、形の微調整を行うことで、顔全体のバランスを整えることができます。慎重な診断と計画のもとで行えば、満足のいく結果を取り戻すことが可能です。

プレート除去や再固定で形を調整できるケースもある

オトガイ形成後に違和感や形のズレを感じる場合、プレートやスクリューの再固定によって改善できることがあります。

また、骨の治癒過程でわずかな吸収や変形が起こると、顎先の左右差や段差感として現れる場合があります。そのようなときは、骨が十分に癒合した段階で固定材を除去し、輪郭の再調整を行うことが可能です。

腫れや感覚の違和感は時間経過で改善することが多い

オトガイ形成後に起こる腫れやしびれなどの違和感は、多くの場合、時間の経過とともに自然に改善します。腫れやしびれは多くの場合、骨切り部や軟部組織の腫れ、神経周囲の一時的な圧迫が原因で生じる一時的な反応です。

術後数日〜数週間は、感覚の鈍化や違和感が残ることがありますが、神経や血流の回復とともに徐々に正常な感覚が戻っていきます。個人差はありますが、腫れのピークは手術後2〜3日ほどで、しびれは数週間かけて軽快していくケースが一般的です。

ただし、長期間にわたる麻痺や強い痛みが続く場合は、神経の損傷や炎症の可能性もあるため、早めに医師へ相談しましょう。再診で神経評価を行い、適切な処置を受けることが回復を早めるポイントです。

まとめ

まとめ

オトガイ形成は、あご先の位置や形を調整し、顔全体のバランスや機能面を改善できる有効な治療です。一方で、仕上がりのイメージの違いやしびれ、ダウンタイム、費用の理解不足といった理由から、術後に後悔を感じるケースもあります。

こうしたトラブルを避けるためには、術前の骨格分析やシミュレーションを丁寧に行うこと、咬合や神経の構造を理解した医師を選ぶこと、費用やリスクを事前に把握しておくことが欠かせません。

術後の違和感についても、多くは時間の経過とともに改善し、必要に応じて修正で対応できる場合があります。

オトガイ形成を検討する際は、見た目だけでなく機能面も含めて総合的に判断し、納得したうえで治療計画を立てることが、後悔を防ぐ最も重要なポイントです。

この記事の監修者

山之内矯正歯科クリニック 院長山之内 哲治
山之内 哲治

矯正歯科臨床38年以上の経験を持ち、外科矯正と呼吸機能改善を専門としています。口腔外科・形成外科・呼吸器内科など多領域の先生方と連携し、咬み合わせの問題を骨格から見直す必要があるのか、歯列矯正で対応できるのかを慎重に見極めた治療を行っています。

経歴

  • 1984年:岡山大学歯学部附属病院 研究生・医員
  • 1986年:光輝病院勤務、岡山大学歯学部附属病院 助手
  • 1987年:米国ロヨラ大学 Dr.Aobaのもとへ留学
  • 1998年:岡山大学歯学部 退職
  • 2000年:山之内矯正歯科クリニック 開院
  • 2004年:日本矯正歯科学会 優秀発表賞受賞
  • 2011年:日本臨床矯正歯科医会 アンコール賞受賞