鼻中隔湾曲症の確かめ方|セルフチェックや医療機関の検査方法を解説

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鼻中隔湾曲症の確かめ方|セルフチェックや医療機関の検査方法を解説

鼻中隔湾曲症の確かめ方|セルフチェックや医療機関の検査方法を解説

「鼻中隔湾曲症かもしれないけれど、自分で確かめる方法はあるの?」

「病院ではどんな検査をするのか、事前に知っておきたい」

このような疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)は、鼻の内部で左右を仕切っている壁が曲がることで片側の鼻づまりやいびき、口呼吸などを引き起こす疾患です。セルフチェックで気づけるサインもありますが、似た症状の疾患も多いため、正確な診断には医療機関での検査が欠かせません。

この記事では、鼻中隔湾曲症のセルフチェック方法、医療機関で行われる検査の内容、似た症状の疾患との違いをわかりやすく解説します。

読めば、「自分は鼻中隔湾曲症の可能性があるのか」「病院で何を確認してもらえるのか」が理解できるはずです。

鼻中隔湾曲症とは

鼻中隔湾曲症とは

鼻中隔湾曲症とは、鼻の中央を仕切っている壁(鼻中隔)が左右どちらかに曲がっている状態を指します。

ほとんどの人に軽度の湾曲はありますが、曲がりの程度が強い場合、呼吸のしづらさや睡眠の質に影響を与えることがあります。

主な症状は、鼻づまりや片側呼吸、いびきなどです。慢性的な鼻づまりが続くと、集中力の低下や睡眠不足につながることもあるため、生活の質を大きく損ねることがあります。

症状が強い場合は、耳鼻咽喉科での診断と治療を受けることで、呼吸の改善や睡眠の質の向上が期待できます。

自分でできる鼻中隔湾曲症のセルフチェック

自分でできる鼻中隔湾曲症のセルフチェック

以下の症状が長期間続く場合は、鼻中隔湾曲症の可能性があります。

  • 片側の鼻づまりが続いている
  • 鼻の穴の高さや向きに左右差がある
  • 口呼吸・いびきが多い
  • 頭痛や集中力の低下を感じることがある

それぞれについて詳しく解説します。

片側の鼻づまりが続いている

鼻中隔湾曲症の特徴的なサインの一つが、「片側だけ鼻づまりが続く」状態です。鼻中隔が片方に曲がることで、湾曲している側の鼻腔が狭くなり、空気の通りが悪くなります。

風邪やアレルギーのように一時的なものではなく、季節や体調に関係なく慢性的に鼻づまりが続くのが特徴です。とくに、常に同じ側の鼻が詰まりやすい場合は、鼻中隔のゆがみが関係している可能性があります。

また、寝る向きによって鼻の通りが変わることもあります。横向きになったとき、下になった側の鼻が詰まりやすい場合は、湾曲の影響で気流の通りが偏っていると考えられます。

鼻の穴の高さや向きに左右差がある

鼻中隔が大きく曲がっている場合、鼻の穴の高さや角度に左右差が生じることがあります。

鏡で正面から見たとき、片方の鼻の穴が大きく見える場合や、鼻筋がわずかに片側へ寄って見える場合は、鼻中隔の湾曲が関係している可能性があります。鼻中隔湾曲症は鼻の内部だけでなく、外見にもわずかな歪みとして現れることがあるのです。

ただし、見た目だけでは「斜鼻(鼻の骨そのものが曲がっている状態)」との区別が難しいため、正確な診断には耳鼻咽喉科での内視鏡検査やCT検査が必要です。

口呼吸・いびきが多い

鼻中隔湾曲症によって鼻の通りが悪くなると、自然と口で呼吸をする習慣がつきやすくなります。とくに就寝中は無意識のうちに口呼吸になりやすく、いびきや口の乾燥、喉の痛みなどの症状を引き起こすことが多いです。

慢性的な口呼吸は、睡眠の質を低下させるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクを高める要因にもなります。また、酸素の取り込み効率が下がるため、朝のだるさや集中力の低下を感じることもあります。

鼻づまりやいびきが長期間続く場合は、耳鼻咽喉科で鼻中隔の形状を含めて原因を確認することが大切です。適切な診断を受けることで、呼吸のしやすさや睡眠の質を改善できる可能性があります。

頭痛や集中力の低下を感じることがある

鼻中隔湾曲症で鼻の通りが悪くなると、吸い込む空気の量が減り、体内に十分な酸素が取り込めなくなることがあります。その結果、軽い酸欠状態に近い状況となり、頭痛や倦怠感、集中力の低下を感じるケースも少なくありません

また、鼻の通気が悪い状態が続くと、副鼻腔に炎症が起こりやすくなり、副鼻腔炎(ふくびくうえん:蓄膿症)を併発することもあります。これにより、顔の奥や額のあたりに重い痛みや圧迫感を感じることがあります。

鼻中隔湾曲症と似た症状のある疾患

鼻中隔湾曲症と似た症状のある疾患

鼻中隔湾曲症と似た症状を示す疾患はいくつかあり、自己判断が難しい場合もあります。誤った自己診断を避けるために、代表的な疾患を整理しておきましょう。

  • アレルギー性鼻炎
  • 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
  • 下鼻甲介肥大症

それぞれについて詳しく解説します。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、鼻づまり・くしゃみ・鼻水などの症状が現れるため、鼻中隔湾曲症と区別がつきにくいことがあります。花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因となり、鼻の粘膜が腫れて鼻腔が狭くなることで呼吸がしづらくなります。

アレルギー性鼻炎の特徴は、症状が季節や環境によって変動する点です。とくに花粉の多い春や秋、または室内のハウスダストが増える時期に悪化する傾向があります。

一方で鼻中隔湾曲症は、鼻の構造的なゆがみによる鼻づまりのため、季節や体調に左右されず片側の鼻づまりが続く点が異なります。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、鼻の奥にある副鼻腔と呼ばれる空洞に炎症が長期間続く疾患です。鼻づまりや頭重感、粘り気のある鼻水、においの低下などを引き起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。

鼻中隔湾曲症によって副鼻腔の通気や排膿が悪くなると、慢性副鼻腔炎を併発することもあります。両者は密接に関係しており、鼻づまりや頭痛、鼻声などの症状が似ているため、見分けがつきにくいのが特徴です。

とくに、黄色や緑色の粘り気のある鼻水が長く続いたり、顔の奥や額のあたりに痛み・圧迫感を感じる場合は、副鼻腔炎が関係している可能性が高いです。

下鼻甲介肥大症

下鼻甲介肥大症は、鼻の内側にある「下鼻甲介(かびこうかい)」と呼ばれる粘膜のひだが慢性的に腫れて、鼻づまりを引き起こす疾患です。アレルギー性鼻炎や乾燥、たばこ、空調などによる慢性的な刺激が原因となり、粘膜が肥大して鼻腔が狭くなります。

鼻中隔湾曲症と同じように、片側または両側の鼻づまりがみられますが、下鼻甲介肥大症は骨や軟骨の変形ではなく、粘膜の腫れが主な原因です。そのため、症状の強さが日によって変わることがあります

また、鼻中隔の湾曲と下鼻甲介の肥大が同時に起こっているケースも多く、手術による治療では両方を併せて改善することがあります。

医療機関で行う検査方法

医療機関で行う検査方法

鼻中隔湾曲症の診断では、医療機関で複数の検査を組み合わせて鼻の内部構造を評価します。主な検査方法は以下のとおりです。

  • 視診(鼻鏡検査)で形の左右差を確認
  • 内視鏡検査で曲がりの程度を観察
  • CT撮影で骨格的な変形を評価

それぞれについて詳しく解説します。

視診(鼻鏡検査)で形の左右差を確認

耳鼻咽喉科での診察では、まず「鼻鏡」と呼ばれる専用の器具を使い、鼻の内部を直接観察します。これにより、鼻中隔の傾きや粘膜の腫れ具合、鼻腔の広さの違いなどを確認することが可能です。

鼻の入り口から奥にかけてを観察することで、左右の鼻腔の形や通りの違いを把握できます。軽度の鼻中隔湾曲であれば、この視診だけでもおおよその状態を判断できる場合が多いです。

ただし、鼻の奥の方にある深い湾曲や、副鼻腔の炎症までは確認が難しいため、必要に応じて内視鏡検査や画像検査を併用して診断を進めます。

内視鏡検査で曲がりの程度を観察

鼻の奥の構造をより詳しく確認するために行われるのが、内視鏡検査です。細いカメラを鼻腔内に挿入し、鼻中隔の奥の湾曲や下鼻甲介、副鼻腔の開口部の状態まで詳細に観察します

この検査は局所麻酔を行ったうえで短時間で実施でき、痛みはほとんどありません。医師がモニターで内部の様子を確認しながら診察するため、肉眼では見えにくい部分の異常も正確に把握できます。

内視鏡検査では、鼻中隔の変形だけでなく、炎症やポリープの有無、副鼻腔の通気状態なども確認できます。治療方針を立てるうえで欠かせない重要な検査です。

CT撮影で骨格的な変形を評価

鼻中隔の曲がりが骨格的なものか、あるいは軟骨部分の変形なのかを詳しく調べるために行われるのがCT撮影です。

CTでは鼻中隔だけでなく、鼻腔全体や副鼻腔の構造を立体的に確認できるため、内視鏡だけでは分かりにくい奥の湾曲や炎症の範囲まで把握できます

副鼻腔炎や鼻茸(ポリープ)などの合併症の有無も同時に評価できるため、手術を検討する際の重要な判断材料となります。

放射線の被ばく量が少なく、撮影時間も数分程度で終わるため、身体への負担は最小限です。得られた画像をもとに、湾曲の位置や程度を正確に診断し、治療方針を決定します。

鼻中隔湾曲症を放置するとどうなる?

鼻中隔湾曲症を放置するとどうなる?

軽度の鼻中隔湾曲であれば、日常生活に支障がないケースも多いです。

しかし、そのまま放置すると鼻づまりや頭痛などの不快な症状が慢性化し、生活の質が下がる恐れがあります。

鼻の通気が悪い状態が続くと、口呼吸の習慣がつきやすくなり、喉の乾燥やいびき、睡眠の質の低下を招くことがあります。鼻腔内の換気が不十分になることで、副鼻腔炎や中耳炎などを併発するケースも少なくありません。

また、酸素の取り込みが減ることによって集中力の低下や倦怠感を感じやすくなり、仕事や勉強のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。

長期間放置しても自然に改善することは少ないため、慢性的な鼻づまりや片側の閉塞感が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

鼻中隔湾曲症と歯並び・咬み合わせの関係

鼻中隔湾曲症と歯並び・咬み合わせの関係

鼻中隔湾曲症によって鼻呼吸がしづらくなると、自然と口呼吸が習慣化しやすくなります。

口呼吸が続くことで舌の位置が下がり、口周りの筋肉バランスが崩れるため、歯並びや咬み合わせに影響を与えることがあります。

とくに成長期の子どもでは、鼻づまりによる口呼吸が続くと上顎の発達が妨げられ、歯列の幅が狭くなる・出っ歯になるなどの変化が起こりやすいです。

成人でも、慢性的な鼻づまりによって睡眠中に口呼吸や歯ぎしりが悪化し、顎関節や咬み合わせに負担をかけるケースがあります。

歯並びや咬み合わせに問題がある場合は、歯科だけでなく耳鼻咽喉科と連携して原因を確認し、総合的に改善を図ることが大切です。

鼻中隔湾曲症が疑われる場合の受診先

鼻中隔湾曲症が疑われる場合の受診先

鼻づまりや片側の呼吸のしにくさ、いびきなどが長く続く場合は、まず耳鼻咽喉科を受診することが推奨されます。

耳鼻咽喉科では、内視鏡検査やCT撮影などで鼻中隔の形状を確認し、症状の原因を正確に診断できます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、似た症状をもつ疾患との鑑別も行えるため、最適な治療方針を立てることが可能です。

一方で、歯並びや口呼吸などの口腔機能に影響が見られる場合は、歯科や矯正歯科と連携して治療を進めるのが望ましいです。症状や目的に応じて複数の専門医と連携し、機能面と見た目の両方から改善を図りましょう。

鼻の形のゆがみや外見上の左右差が気になる場合は、形成外科や美容外科で相談するケースもあります。

なお、山之内矯正歯科クリニックでは、鼻づまりや口呼吸が歯並び・咬み合わせへ与える影響にも配慮し、必要に応じて耳鼻咽喉科と連携した治療計画をご提案しています。鼻と咬み合わせのお悩みが重なっている方も、安心してご相談ください。

まとめ

まとめ

鼻中隔湾曲症は、左右の鼻づまりの偏りや鼻の穴の左右差、口呼吸の習慣、集中力の低下などが判断の目安になりますが、似た症状の疾患も多いです。

耳鼻咽喉科では、視診や内視鏡検査、CT検査などを組み合わせて鼻腔内部の形状を正確に評価し、必要に応じて治療方針を立てます。

気になる症状がある方は、一度耳鼻咽喉科で状態を確認してみることをおすすめします。

この記事の監修者

山之内矯正歯科クリニック 院長山之内 哲治
山之内 哲治

矯正歯科臨床38年以上の経験を持ち、外科矯正と呼吸機能改善を専門としています。口腔外科・形成外科・呼吸器内科など多領域の先生方と連携し、咬み合わせの問題を骨格から見直す必要があるのか、歯列矯正で対応できるのかを慎重に見極めた治療を行っています。

経歴

  • 1984年:岡山大学歯学部附属病院 研究生・医員
  • 1986年:光輝病院勤務、岡山大学歯学部附属病院 助手
  • 1987年:米国ロヨラ大学 Dr.Aobaのもとへ留学
  • 1998年:岡山大学歯学部 退職
  • 2000年:山之内矯正歯科クリニック 開院
  • 2004年:日本矯正歯科学会 優秀発表賞受賞
  • 2011年:日本臨床矯正歯科医会 アンコール賞受賞