小児のマウスピース矯正について。効果やメリット・デメリット、費用

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小児のマウスピース矯正について。効果やメリット・デメリット、費用

小児のマウスピース矯正について。効果やメリット・デメリット、費用

小児のマウスピース矯正は、痛みを抑えながら歯並びや噛み合わせの土台を整えられる治療法です。常時装着するタイプから在宅中や就寝中のみ装着するものまで、お子様の生活に合わせた選択肢があります。

近年は透明で目立ちにくいマウスピースについてのお問い合わせも増えており「負担が少ないならやらせたい」とお考えの保護者様も多いです。

本記事では、小児のマウスピース矯正の基礎知識を解説します。効果や費用、使用上の注意点などもまとめているので、お子様の歯科矯正を検討中の方はぜひ参考にしてください。

小児矯正の目的

小児矯正の目的

小児矯正は、乳歯から永久歯に生え変わる時期に行う第一期と、永久歯が生え揃ってから行う第二期の2段階に分けられます。

第一期はあごの成長を利用し、永久歯が正しく生え揃うスペースをつくる土台づくりの期間です。第二期では本格的に歯を動かし、歯並びや噛み合わせを整えていく仕上げを行います。

小児のうちに矯正をはじめる最大の利点は、成長の力を利用できることです。発育を活かし、適切な位置に骨を誘導することで治療負担を最小限に抑えられます

成長期にしかできないアプローチは、結果として治療の難易度や治療期間、費用を抑えられる可能性があるのです。

マウスピース矯正は小児矯正における選択肢の一つ

マウスピース矯正は小児矯正における選択肢の一つ

歯科矯正の技術は進化しつづけており、患者様の選択肢も広がっています。マウスピース矯正もその一つで、小児矯正においてはお子様の負担を大幅に軽減できる方法の一つだと考えます。

歯科矯正は状態に応じた治療を行いますが、小児の場合、お子様の負担をできる限り減らしたいと考える保護者様がほとんどです。お子様にとっても、痛みの有無や見た目の変化は、治療のモチベーションに影響を与えます。

本人やご家族の気持ちに配慮するうえで、マウスピース矯正はメリットの多い治療法だといえます。

小児のマウスピース矯正の効果

小児のマウスピース矯正の効果

小児のマウスピース矯正は歯を無理に動かすのではなく、成長期のあごや筋肉の発育を利用して歯が正しく並ぶための土台をつくる治療です。永久歯がきれいに生え揃うためのスペースを整えつつ、機能面の改善も目指します。

たとえば、歯の重なりやねじれ、前歯の傾きなど軽度〜中等度の歯並びの乱れを改善するのに効果的です。歯が生えるスペースを確保できれば、将来的な抜歯のリスクを減らす効果も期待できます。

さらに、骨格バランスを整えることは軽度な出っ歯や受け口など噛み合わせのズレを改善するのにも役立ちます。歯並びの乱れにつながる口呼吸や指しゃぶり、舌癖の改善も可能です。

小児のマウスピース矯正の種類

小児のマウスピース矯正の種類

小児矯正で用いるマウスピースは、大別すると①アライナー型②規制型の2タイプに分けられます。それぞれの特徴を解説します。

アライナー型

一人ひとりの歯型データをもとに、専用ソフトで設計・作製されるカスタムメイドのマウスピースです。代表的なアライナー型マウスピースが「インビザライン(小児向けはインビザライン・ファースト)」です。

透明で目立たないことから、人に気づかれたくない方やワイヤー矯正を避けたい方に人気があります。インビザラインの推奨年齢は6〜10歳頃まで(混合歯列期)で、あごの発育をサポートし、永久歯が生えるスペースをつくる効果があります。

当院でもインビザラインを用いた矯正治療を取り入れておりますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

既成型

小児矯正ではあらかじめ形が決まっているマウスピースを使用することもあります。既成型の代表的なものが「プレオルソ」です。

プレオルソは日本の歯科医師が日本の子ども向けに開発したマウスピース矯正で、いくつかある種類の中から自分に合うものを選ぶことができます。既成型ではありますが、あたためると形状が変わるので微調整が可能です。

日中1時間と就寝時の使用が推奨され、学校に持っていく必要がありません。4〜10歳頃のお子様に推奨されています。

小児のマウスピース矯正のメリット

小児のマウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正に比べて見た目や装着感のストレスが少なく、お子様にも受け入れやすい治療法です。ここからは、小児のマウスピース矯正の主なメリットをご紹介します。

目立ちにくい

小児向けのインビザラインは透明で厚みも0.5mmほどしかなく、装着していてもほとんど目立ちません。周囲に気づかれにくいので、お子様が前向きな気持ちで続けられるメリットがあります。

痛みや違和感が少ない

小児用のマウスピースはやわらかい素材でつくられており、痛みや違和感が少ないといわれています。

金属製のワイヤーに比べて口の中が傷つくリスクも小さく、接触のないスポーツであれば運動中も装着できます。

虫歯になりにくい

マウスピース型の矯正装置は、食事や歯磨きの時に取り外すのが一般的です。毎日丁寧に歯磨きをすれば食べかすが溜まりにくく、虫歯や歯肉炎のリスクを抑えられるのも大きな利点です。

インビザラインに関しては定期的に新しいマウスピースに交換するため、ワイヤー矯正に比べて清潔な状態を保ちやすいといわれています。

金属アレルギーでも使える

インビザラインやプレオルソはプラスチック素材でできており、金属を一切使用していません。そのため、ニッケルやクロムなどの金属アレルギーがあるお子様でも安心して使用できます。

小児のマウスピース矯正のデメリット

小児のマウスピース矯正のデメリット

小児向けのマウスピース矯正にはさまざまなメリットがありますが、その一方でいくつか使用上の注意点もあります。ここからはデメリットについても解説していきます。

時間を守らなければ効果が得られない

マウスピース矯正の装着時間は効果に直結するため、推奨される時間を守らないと治療は計画通りに進みません。

食事や歯磨きのタイミングで外した後につけ忘れると、十分な効果が得られない可能性があります。お子様自身が矯正中であるという意識を持ち、保護者様も声がけなどのサポートをすることが成功の鍵となります。

適応できない場合がある

マウスピース矯正は軽度〜中等度の歯並びの乱れに効果を発揮しますが、複雑な症例には対応できない場合もあります。

患者様やご家族が希望しても、矯正歯科医が適応でないと判断した場合はマウスピース矯正以外の治療法を提案することになります。

紛失や破損の恐れがある

マウスピースは取り外しができる分、失くしたり壊したりするリスクもあります。学校や習い事などで外す機会が多いお子様は、出先で紛失してしまうケースも珍しくありません。

再作製にはお金がかかるだけでなく、治療の遅れにつながるおそれがあります。慣れるまでは保護者様が見守ってあげたり、外したマウスピースは専用ケースに入れることを習慣づけたりすることが大切です。

小児のマウスピース矯正の費用

小児のマウスピース矯正の費用

歯科矯正はすべて自由診療(保険適用外)で行われるため、マウスピース矯正の費用は歯科医院によって異なります。

費用感の目安としてはインビザライン・ファーストが70万〜120万円、プレオルソは3万〜20万円が相場です。歯科医院によっては検査料や診断料、保定装置料などが別途発生することもあります。

初回カウンセリングでは通院の頻度や調整費、紛失・破損時のマウスピース再作製費用なども確認しておくと安心です。

審美目的でない歯科矯正(機能的な改善を目的としたもの)は医療費控除の対象となります。医療費控除は費用負担を軽減できる公的制度であり、承認されれば、一定金額の所得控除が受けられます。

関連記事:小児の歯科矯正の費用はどれくらい?補助金や保険、ローンについて

小児のマウスピース矯正の治療期間

小児のマウスピース矯正の治療期間

小児矯正においてマウスピースを使用するのは第一期で、あごの自然な発育を利用しながら土台を整えます。歯の状態や成長スピードによって個人差がありますが、多くの患者様が1〜3年ほどで一期治療を終えられています

インビザライン・ファーストは1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、段階的に歯を動かしていきます。1〜3ヶ月ごとの通院では歯やあごの発育を確認し、歯並びが安定した後も保定期間が必要です。

第二期では本格的に歯を動かす治療を行いますが、第一期で土台がある程度整えられると第二期での歯の移動量が少なくなり、期間を短縮できる可能性があります。

まとめ

まとめ

小児のマウスピース矯正は痛みや違和感が少なく、お子様でも無理なく進められる方法です。インビザラインは見た目も自然で、周囲を気にせずに済むメリットがあります。

一方で、装着時間の管理や紛失リスクなど、お子様自身の協力度が結果を左右する側面もあります。複雑な症例には対応できないこともあるため、まずは歯科医に相談のうえでお子様にとって最適な方法を選びましょう。

当院では、お子様にとって負担の少ない小児矯正をご提案しております。「子どもの歯並びが気になる」「マウスピース矯正をさせたい」という保護者様はお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

山之内矯正歯科クリニック 院長山之内 哲治
山之内 哲治

矯正歯科臨床38年以上の経験を持ち、外科矯正と呼吸機能改善を専門としています。口腔外科・形成外科・呼吸器内科など多領域の先生方と連携し、咬み合わせの問題を骨格から見直す必要があるのか、歯列矯正で対応できるのかを慎重に見極めた治療を行っています。

経歴

  • 1984年:岡山大学歯学部附属病院 研究生・医員
  • 1986年:光輝病院勤務、岡山大学歯学部附属病院 助手
  • 1987年:米国ロヨラ大学 Dr.Aobaのもとへ留学
  • 1998年:岡山大学歯学部 退職
  • 2000年:山之内矯正歯科クリニック 開院
  • 2004年:日本矯正歯科学会 優秀発表賞受賞
  • 2011年:日本臨床矯正歯科医会 アンコール賞受賞